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月刊ササセCOLUMN

院長 笹瀬 晃弘

ササセ皮フ科

院長 笹瀬 晃弘

2022.12.12

鮫肌

疥癬

 鮫肌は俗語で、背中や腕の毛穴の流れに沿って発疹するブツブツとした湿疹や肌のザラつきを指す言葉で、皮膚の表面が固くなることが特徴です。

 毛孔性苔癬や魚鱗癬といった遺伝的皮膚疾患では鮫肌になります。発症頻度の高い毛孔性苔癬では思春期に肩、上腕、臀部、大腿が鮫肌になります。このような疾患以外にも、皮膚のターンオーバーの乱れによっても生じます。

 予防改善するには、肌を清潔に保つ、十分保湿する、バランスの良い食事を取る、ストレスを解消する、規則正しい生活を送る、風呂で洗いすぎない、風呂はぬるめにする、などの日常生活のケアが大切です。冬の熱いお湯での長風呂は気持ちいいですが乾燥肌を悪化させてしまいますので要注意です。

2022.11.20

疥癬(かいせん)・・・意外と多い

疥癬

 疥癬はヒトヒゼンダニによる極めて痒みの強い感染症です。陰部や体幹、指間部などに好発し多発性小丘疹を形成します。寝具などを介しても感染します。性感染症や院内感染として発症することが多かったのですが、最近は家庭内感染のケースもよくあります。

 診断は虫体や卵を皮膚から見つけることですが検出率は低いです。指間の疥癬トンネルや陰部の多発性丘疹が診断の助けになります。痒みの強い皮膚炎様症状でステロイド外用が効かない場合は疥癬を疑うことがあります。

 治療はイベルメクチン内服が著効します。通常1回の内服ですが、1~2週間後に2回目を追加することがあります。内服薬は比較的安全なので、疑えば投与しています。

2022.10.13

酒さ・・・その赤ら顔、酒さかも

スキンタグ

 「酒さ」は中高年の顔面、特に鼻とその周囲に好発する発赤と毛細血管拡張が数か月以上持続する慢性炎症疾患で一般的に「赤ら顔」と言われます。ほてりやヒリヒリ感などの自覚症状やニキビ様の丘疹、膿疱を伴うことがあります。重症例では鼻瘤と言われる腫瘤になることがあります。

 原因は日光、ストレス、飲酒、刺激物摂取、肝機能障害、毛包虫感染などが考えられますが不明です。よく似た症状で「酒さ様皮膚炎」があります。これはステロイド外用の顔面への長期使用で引き起こされ口囲や頬に好発します。

 酒さの治療には最近保険適用になったメトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)が効果的です。

2022.09.12

スキンタグ

スキンタグ

 頚部や腋窩、鼠径部などに好発する、糸状の柔軟で常色~淡褐色調の小腫瘍(2~3ミリ)のことで、通常多発します。

スキンタグとは俗称で、「皮膚の札」という意味です。正式な皮膚科病名は「軟性線維腫」で、真皮の主成分である膠原線維の増生が主体です。肥満者、女性に好発し、一種の加齢変化と考えられています。単発性の軟性線維腫はピンポン玉くらいにまで大きくなるものもあります。

 スキンタグの摘除方法は、クーパー(ハサミ)や冷凍凝固、レーザーなどがあります。小さく細いものは麻酔なしで皮膚切除クーパーできれいに取れます。ほとんど痕は残りません。クーパーが無理な場合は冷凍凝固かレーザーになりますが、痕は一般的にレーザーの方がきれいです。

2022.08.23

爪の変形

爪の変形

 爪の変形には様々な要因がありますが、全身性疾患や他の皮膚疾患のサインであったりします。

①点状陥凹 爪に小さな凹みが生ずるもので、尋常性乾癬、円形脱毛症、外力やアトピー性皮膚炎などで見られます。

②爪甲剥離症 爪が遠位部で爪床から遊離した状態で、外傷、真菌感染、乾癬や甲状腺疾患などで見られます。

③ボー線 爪に横行する線状の陥凹で、尋常性乾癬、手足口病、化学療法や外傷で見られます。

④匙状爪 爪中央部が陥凹し側爪郭方向に反り返るもので、鉄欠乏性貧血、甲状腺機能異常、外力などで見られます。幼少時に見られることも多いですが、ほとんどの場合成長とともに改善します。

⑤ばち指 爪が肥大化して丸みを帯びたもので、肺癌を含む慢性肺疾患に多いです。

2022.07.12

ウイルス性イボ

ウイルス性イボ

 イボと呼ばれるものにはさまざまな種類があります。ウイルス感染によるイボもその一つでその中にも何種類かあります。

 尋常性疣贅はヒト乳頭ウイルス(HPV)感染で手足に好発します。小児や青少年で足底のウオノメを主訴に受診された場合、ほぼ尋常性疣贅です。液体窒素による凍結療法が主な治療法です。

 扁平疣贅もHPV感染で主に青年期女子の顔面や手背に多発します。ヨクイニン内服や凍結療法で治療します。

 尖圭コンジローマもHPV感染で外陰部に生じる性感染症です。凍結療法、外用で治療します。

 みずいぼは伝染性軟属腫ウイルス感染で小児に好発します。治療はピンセットで除去するのが確実です。

2022.06.14

汗を止める治療・・・脇汗や手汗

汗を止める治療・・・脇汗や手汗

 脇汗を止める治療薬が、また新たに発売されました。ティッシュ状になっていてふき取るタイプの外用薬です。毎日1日1回の使用です。汗腺での汗の産生を抑える作用があります。

 他にはボットクス注射という治療があり、これも汗の産生を抑えます。その他には塩化アルミニウム水外用という治療もあります。これは汗の出口の所を詰まらせて発汗を抑えるという機序です。

 手汗を止める治療は難しいのですが、イオントフォレーシスという処置治療により改善されます。手を水に浸けて通電する治療です。10分くらいの治療でチリチリする程度の刺激です。週に1回くらいの治療となります。家での塩化アルミニウム水外用を併用すればより効果が上がります。

2022.05.10

チャドクガ皮膚炎

チャドクガ皮膚炎

 毎年この季節になるとチャドクガ皮膚炎で来院する患者さんが増えてきています。チャドクガとは茶色の毒蛾のことです。

 最も多く症状が強いのがチャドクガの幼虫(毛虫)の毒針による被害です。ツバキ、サザンカや桜の葉の裏側に密集して生息しています。毒針である毛を木の上から落としてくるため、実際に刺された記憶がないのにやられていることがほとんどです。ドクガには黒い種類もあります。成虫(蛾)は夜行性で被害は夜の散歩やランニング中に顔や首に直接当たって皮膚炎を起こします。

 毛虫は今から夏とお盆過ぎに発生します。症状は赤く痒いぶつぶつが広い範囲に生じますが、数時間してから出てくるのでチャドクガによるものと気づかないことが多いです。2、3日は新たな発疹が増えて、服を着ていたところにも出るのが特徴です。全身性のじんま疹を引き起こすこともあります。毛虫を見れば、近づかない方がいいでしょう。

2022.04.19

トビヒと湿疹

トビヒと湿疹

 様々な部位に発疹が広がっていく状態の時、「これはトビヒですか?」とよく聞かれます。でも実際は「湿疹」であることが多いのです。

 トビヒは俗称で正式には「伝染性膿痂疹」という黄色ブドウ球菌などによる細菌感染症です。水疱になるのが特徴でそこにいる菌が他の部位に付いて新たに水疱ができます。火事で火の粉が飛んで離れた場所で火事になる「飛び火」からきています。

 一方湿疹では掻いた部位に次々と発症していくことがありトビヒ様になることがあります。びらんになることもありよく似ていることもあります。湿疹は正式名称で皮膚炎と同義です。

 トビヒには抗生物質が必要で湿疹のステロイドでは増悪するので見極めが大切になります。

2022.03.08

瘭疽(ひょうそ)・・・細菌性爪囲炎

瘭疽(ひょうそ)・・・細菌性爪囲炎

 爪周囲で化膿性炎症をきたしたものを「瘭疽」と言います。爪周囲の皮膚や皮下組織の細菌感染で、拍動性の疼痛、腫脹、発赤、熱感、膿瘍などの症状を生じます。

 細菌感染の原因としては、サカムケ、擦り傷や陥入爪などが多いです。最近はキズパワーパッドの長時間貼付による症例も多くみられます。黄色ブドウ球菌による感染が多く、針で穿刺すると意外なほど多くの黄色い膿が出てくることがあります。緑膿菌感染の場合は爪が緑色になり爪甲剥離を生じることがあります。

 排膿処置と抗菌剤の内服、外用で治療します。爪周囲は感染しやすいので、特にスキンケアには気を付けておきましょう。

2022.02.07

毛孔性苔癬・・・二の腕のブツブツ

毛孔性苔癬・・・二の腕のブツブツ

 上腕や大腿の外側に生じる、いわゆるブツブツで、多発し毛穴に一致しています。学童期から発症し思春期頃に目立つようになります。程度に差はありますが、10代の30~40%に認められます。毛穴が開いて角化しています。遺伝傾向があり、常染色体優性遺伝が推測されます。加齢とともに自然消退していきます。

 冬は角化しているため乾燥しザラザラとしたサメ肌のように、夏は毛穴が詰まっているため炎症を起こしニキビのようになることがあります。

 角化を整えるビタミンA、角質を溶かす尿素やサリチル酸、抗炎症作用のある非ステロイドの外用が治療になります。細菌感染を起こしてる時は抗生剤の外用になります。

2022.01.12

ニキビ治療・・・早めの保険治療が大切

ニキビ治療・・・早めの保険治療が大切

 ニキビ及びニキビ関連皮膚疾患で皮膚科を受診される患者さんは大変多く年々増加傾向にあります。ニキビが皮膚疾患であり保険治療で改善するということが知られてきたこともその理由でしょう。

 アダパレン、過酸化ベンゾイルといった毛穴の詰まりを改善する薬の登場で、ニキビ治療は大きく変わってきました。治療だけでなく肌質改善や予防にもなります。

 ニキビは跡(赤みと凹凸)にならないようにすることが一番大切です。赤ニキビの1割が跡になると言われています。治療開始時期で大きく結果が変わってきます。もちろん早めの治療をお勧めします。

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