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月刊ササセCOLUMN

院長 笹瀬 晃弘

ササセ皮フ科

院長 笹瀬 晃弘

2024.11.12

あかぎれ

口腔アレルギー症候群・・・果物アレルギーなど

 あかぎれとは、手指や踵の皮膚表面に細かい亀裂が入って出血や炎症を起こした状態のことです。冬に好発するのは、気温の低下や空気の乾燥によって汗や皮脂の分泌量が減少するからです。

 皮膚が乾燥しやすくなり、皮膚の水分や弾力性が失われ、亀裂が生じやすくなります。手の皮膚は水仕事、手洗い、アルコール消毒、シャンプーなどでもダメージを受けバリア機能が低下します。熱いお湯での長時間入浴も良くありません。

 あかぎれの症状は痛みや強い痒み、腫れなどで、手荒れより強い炎症をおこします。治療は強めのステロイド軟膏やテープ剤の外用になります。予防としては保湿ケアになりますが、保湿力の高いセラミドやビタミンA、血行を促進するビタミンEやヘパリン類似物質などを含有する保湿剤であれば、より良いでしょう。

2024.10.09

口腔アレルギー症候群・・・果物アレルギーなど

口腔アレルギー症候群・・・果物アレルギーなど

 果物や野菜などの食材を食べて口唇が腫れる、口内のイガイガ感を感じるなどの口腔内の反応を口腔アレルギー症候群(OAS)とよびます。このようなアレルギー反応は食材を食べ過ぎてなるのではなく、意外にも、違う植物の花粉によって引き起こされるのです。花粉抗原により感作が成立し、その後それらの抗原に対して交差反応するタンパク質を含む果物や野菜を食べて発症します。

 カバノキ花粉(シラカンバ、ハンノキ)はバラ科果物(リンゴ、モモ、サクランボなど)やマメ科、イネ科花粉(オオアワガエリ、カモガヤ)はウリ科果物(メロン、スイカなど)、キク科花粉(ブタクサ、ヨモギ)はセリ科野菜など、花粉と食物との関連性が明らかになっています。

 イネ科花粉でコメやコムギのアレルギー数値が高い人がいますが、頻繁に摂取するものなので耐性ができて症状が現れる人はほとんどいません。

2024.09.09

老人性疣贅(脂漏性角化症)

老人性疣贅(脂漏性角化症)

 中年以降の顔面、頭部、体幹などにみられる疣贅(イボ)状の良性腫瘍です。多くは直径1〜2センチの境界明瞭な灰褐色〜黒褐色の隆起性結節です。一般には「シミイボ」といわれることがあります。

 老化や紫外線が原因で、表皮の角化細胞がイボ様に腫瘍化したものです。80歳以上の高齢者ではほぼ全員に認められます。急速に増大することも多く、痒みを伴うこともあります。

 治療は冷凍療法が一般的です。−196度の液体窒素で瞬間冷凍し腫瘍を壊死させて取ります。1〜2週間毎の数回の治療が必要です。処置中軽度の痛みはありますがテープを貼ったり、外用薬を塗ったりする必要はありません。すぐに水に濡らせますし風呂にも入れます。他にはレーザーや切開切除で取ることもあります。

2024.08.16

体のニキビ・・・マラセチア毛包炎かも

体のニキビ・・・マラセチア毛包炎かも

 ニキビは顔だけでなく、胸や背中などの体幹にも好発します。真のニキビは尋常性ざ瘡で、アクネ桿菌、毛包虫、内分泌、ストレスなどが要因となります。

 顔のニキビはほぼ尋常性ざ瘡ですが、胸や背中のニキビと見えるものには実はマラセチア毛包炎であることがよくあります。マラセチアという真菌の一種による感染症なので、ニキビとは別物になります。思春期の男女の上半身、特に背部に好発します。マラセチア菌は常在菌で、汗で増殖します。2〜3ミリの紅色丘疹が多発して、軽度の痒みあるいは痛みがあることがあります。尋常性ざ瘡と違って個々の皮疹の色や形状が揃っているのが特徴です。

 治療には抗真菌剤を使います。ほとんどの場合外用剤で治りますが、難治の場合、内服薬を使用することもあります。また、尋常性ざ瘡とマラセチア毛包炎が混在していることも多く治療が難しいことも多いです。

2024.07.08

爪白癬

爪白癬

 爪も白癬菌に感染することがあります。爪が白癬菌に感染すると白く濁り分厚く肥厚します。また脆くなりボロボロになることもあります。発症部位はほとんどが足爪で、足の親指も好発部位です。肥厚などの変形が強いと歩行に障害が出ることがわかっています。

 また、白癬は家庭内感染が一番多いので、慢性的な白癬の温床となる爪白癬は早く治すことに越したことはありません。

 治療は外用薬または内服薬のどちらかになります。内服薬はもちろん外用薬も市販のものは存在しませんし全く効きません。硬く厚い爪を貫通する作用を持つ特別な保険薬が必要です。内服薬は外用薬に比べて完全治癒率は5倍くらい良いです。効果と毎日外用する面倒からも、内服薬の方がおすすめです。ただし肝臓機能を調べる必要があるので血液検査を行いながらの投与となります。治療に関しては皮膚科医とよく相談して下さい。

2024.06.10

トビヒ

トビヒ

 「トビヒ」は正式には伝染性膿痂疹という黄色ブドウ球菌などによる細菌性皮膚感染症の俗称です。湿疹、皮膚炎で掻いて皮疹がどんどん広がっていくことはよくありますが、これはトビヒではありません。トビヒはあくまで細菌感染で皮疹が広がっていく症状のことです。

 大人では稀でほとんどが乳幼児の疾患です。皮膚が細菌感染を起こすと水疱やびらんになり、いわゆる汁が出た状態になります。また薄いカサブタを形成します。感染ですが痛いより痒いことが多く掻いてしまいます。その菌がついた手で違うところを掻くと、そこが感染して皮疹が広がります。この症状が火事で次々と「飛び火」して延焼していく様に似ているのでトビヒといわれるのです。

 アトピーや乾燥肌でよく掻いている子供に好発します。原因となる黄色ブドウ球菌は鼻汁にいることが多く、風邪を引いて黄色い鼻汁が出ている時は要注意です。

 治療は抗生物質の内服、外用の他に掻爬しないよう痒みを止めるステロイド外用もよく使います。

2024.05.16

日光と皮膚疾患

日光と皮膚疾患

 日光にはあらゆる波長の光線が含まれています。ざっくり簡単に言うと、生物にとって短い波長の光線は殺傷作用、長い波長の光線は加温作用があります。

 皮膚に大きな影響を与える紫外線は短い波長で、一部殺傷作用がありますが、幸いオゾン層などに守られ地上には紫外線の中でも波長の長いものしか届きません。それでも細胞のDNAを傷つけたりするので皮膚腫瘍の原因の一つとなっています。良性の脂漏性角化症、悪性の日光角化症と基底細胞癌は紫外線が関与していることが多いです。

 日光または紫外線は皮膚に紅斑を生じ日光皮膚炎や光線過敏症、日光蕁麻疹などの皮膚疾患とシミなどの色素異常を引き起こすことがあります。ただ骨形成に必要なビタミンDを生成するなど良いこともあります。

2024.04.16

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎

 日常よく遭遇する皮膚疾患の一つで、思春期以降のほか乳幼児に好発します。

 皮脂中のトリグリセライドがマラセチアなどの皮膚常在菌によって分解され、分解産物である遊離脂肪酸が皮膚に刺激を加えることによって発症すると考えられています。頭や顔、腋窩などの皮脂分泌の活発な部位に。黄色調の鱗屑を伴う紅色局面が典型的な湿疹として生じます。ストレスや不摂生な生活も過剰な皮脂分泌を引き起こし増悪因子となっています。

 まずは石鹸、シャンプーを使った適切なスキンケアが大切です。ステロイド外用の他に抗真菌剤の外用も有効です。治りにくい頭部の症状には、最近出たステロイド入りのシャンプー外用薬が奏功しています。

2024.03.11

巻き爪と陥入爪

巻き爪と陥入爪

 巻き爪は単に爪が巻いている状態のことで、必ずしも痛みを伴うものではありません。痛みは爪が周囲の皮膚に食い込んで生じます。この状態は陥入爪と呼ばれ巻き爪とは別物です。もちろん巻き爪から皮膚に食い込むこともあり、その時は巻き爪が原因の陥入爪ということになります。

  陥入爪は足の親指に好発しますが、巻き爪よりも他の原因でなることが多いです。10代の若者に多く、爪の両端を深く切りすぎること(深爪)や感染、外傷などで生じます。

 巻き爪は高齢者や外反母趾の人に生じやすい爪変形です。足の親指に体重がかからない歩き方、爪の伸ばしすぎで生じてきます。足の親指は特に正しい爪の切り方などのケアが必要です。

2024.02.13

ホクロ除去 切開かレーザーか

老人性紫斑

 一般的にホクロと言われるものの多くは色素性母斑と言われる良性の皮膚腫瘍です。ほとんどのものは生まれた時にはなく生きていくうちに自然に発生してきます。日光は発生には関係なく体質としか言えません。年齢に関係なく大きくなり隆起してくるものもあります。このように増殖能力があるのが特徴です。

 切開で取る場合、傷はホクロの直径の3倍くらいの長さの線になります。レーザーで取る場合、傷はコンパクトですが再発してくる可能性が大いにあります。

 一般的にレーザーの方が簡単にきれいに治るというイメージがあるようですが、切開と同じく局所麻酔は必要で傷が治るのに、より時間がかかることが多いです。大きさ、部位、性状を考慮して切開かレーザーか決めます。長所と短所をしっかり理解してから施術を受けましょう。

2024.01.05

老人性紫斑

老人性紫斑

 手背、前腕伸側、下腿伸側に生じる紫斑(内出血)で、加齢が原因です。加齢変化により皮膚は薄くなり血管支持組織が脆弱になり、本人が自覚しない程度の刺激によっても容易に紫斑を形成します。境界明瞭な皮下出血で最初は赤みがありますが、徐々に紫から黒色に変化していきます。

 特に治療はなく必要もありません。長期のステロイド内服や外用でも同様の症状が現れることがあります。

 紫斑で注意しないといけないのは、特発性やクリオグロブリン血症などでみられる血小板減少を伴うもので、脳出血や糸球体腎炎などを生じることがあります。

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