皮フに関するお悩みは
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月刊ササセCOLUMN
ササセ皮フ科
院長 笹瀬 晃弘
2021.12.13
手湿疹
手に生じる皮膚炎・湿疹で、ほぼすべての人が経験する手荒れも含まれます。外界物質の刺激やアレルギー反応による接触皮膚炎が本質です。
家事の水仕事などが原因の時は主婦湿疹と呼ばれます。仕事で薬品や金属に触れる機会が多いとアレルギー反応での接触皮膚炎になることがあり、全身に痒みや皮膚炎が広がることもあり厄介です。
最近では頻回のアルコール消毒や寒さ乾燥が原因と思われる皮膚炎が多くみられます。手指の皮膚炎の特徴は角質が分厚いため、亀裂が生じやすいことです。亀裂は真皮まで達しますので刺激が加わるととても痛いです。
治療はステロイド軟膏で炎症を抑えます。亀裂にはステロイドのテープ剤が有効です。外的刺激を防ぐワセリンやハンドクリームも軽症時や予防に有効です。
2021.11.08
円形脱毛
円形脱毛は突然生じる円形の境界明瞭な脱毛斑です。数か月で自然治癒することが多いですが、多発する場合は融合し広い範囲の脱毛に進行することがあります。治療で早く軽症で治すことができます。
若者に好発し眉毛や髭などに発症することがあります。栄養障害説、遺伝説、ストレス説がありますが原因は不明です。自己免疫性甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎に合併しやすく自己免疫のの関与も考えられます。
治療は、内服、外用、ステロイド注射、紫外線照射や凍結療法などがあり症状により選択します。
2021.10.12
女性の薄毛治療
ほとんどの女性が加齢による薄毛で悩んでいます。男性型脱毛AGAを文字ってFAGAと言われてもいます。毛根への血流を良くする、毛に良い栄養素を補給する、女性ホルモンを増やすことなどが治療になります。
ミノキシジルという成分は外用で血流を増加させ発毛に効果があります。内服もありますが、心拍数上昇など循環器に作用したり、他の部位が多毛になる副作用もあるので要注意です。
スピロノラクトンも抗男性ホルモン作用で抜け毛減少を目的に内服されることがありますが、本来高血圧の薬なので低血圧、頻尿などの副作用に注意が必要です。
髪に良い栄養素などを含むサプリメントは安全性が高いです。
2021.09.14
口唇の皮膚疾患
口唇の皮膚疾患で一番多いのは、いわゆる「唇あれ」と言われる唇の皮膚炎です。冬季の乾燥や、紫外線や、食べ物や、舌で舐める癖が誘因となることが多いです。
ほとんどがステロイド外用で良くなりますが、口角はカンジダ症になりやすく要注意です。口唇が突然腫れて痛み痒みもなく数時間から数日で消退するのはクインケ浮腫です。口唇縁に1ミリくらいの黄色症丘疹が列状に多発するのはフォアダイス状態で独立脂腺の増殖です。
口唇にできる黒い斑はメラノーシスというメラニン増殖でレーザーできれいに取れます。血管腔が拡張してできる静脈湖は黒い皮疹で軽度隆起していることが多いです。
口唇には他にも多くの皮膚疾患があります。
2021.08.16
粉瘤(アテローマ)
皮膚科で最も多い手術疾患の一つです。
粉瘤とは、簡単に一言でいえば「皮膚の中にできた皮膚の袋」です。一般的には「脂肪の塊」とも言われたりもしますが、その袋の中に溜まっているものは脂肪ではなく角質です。
可動性が良くドーム状に隆起しています。皮内の袋が皮膚表面に開口していることが多く、腫瘍中央に黒点として認められます。ここから内容物である白い角質が出てくることがあり臭いが気になります。またここを通じて細菌感染をおこすことも多いです。
良性の腫瘍ですが、ピンポン玉くらいまで大きくなったり、細菌感染をおこしたりするので、できるだけ小さいうちに摘除することをお勧めします。30分たらずの簡単な局所麻酔手術です。
2021.07.12
基底細胞癌
皮膚癌の一つで発生頻度はかなり高いです。脳や肺などに転移せず、悪性度は低いです。紫外線暴露が誘因の一つです。
40歳以上に好発し、ほとんどが顔に生じます。黄色人種ではほとんどが黒褐色を呈するので一見するとホクロと区別がつきません。また常色のものもあり、初期段階では悪いものに見えません。
転移はしないですが、正常組織を破壊しながら増殖し続けます。中央部が潰瘍化するものもあります。診断は皮膚科にあるダーモスコピーでかなりわかりますが、確定は組織検査になります。治療は外科的切除です。
40歳以上で顔にホクロが生じ、大きくなってくる場合は基底細胞癌の可能性があります。
2021.06.21
マラセチア感染症
マラセチアは、癜風、マラセチア毛包炎の直接の原因になるだけでなく、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の誘発、悪化因子になります。
マラセチアは皮膚の脂漏部位に常在する真菌で発汗量の増える春から夏にかけて増殖します。
癜風は思春期以降の若い人の体幹上部に好発する淡褐色斑あるいは脱色素斑で、自覚症状はほとんどありません。
マラセチア毛包炎はニキビに似た症状で、同じく体幹上部に好発します。
脂漏性皮膚炎は頭、顔、体幹に好発しマラセチアが悪化因子となります。
アトピー性皮膚炎で夏季に増悪する場合はマラセチアにアレルギーを持っていることが多いです。
治療は抗真菌剤の外用ですが、難治の場合は内服も使用します。
2021.05.18
ワキ汗に新薬
暑くなるとワキ汗が気になります。
最近ワキ汗に対して新しい外用薬が出ました。エクロックという外用薬で「原発性腋窩多汗症」に保険適応です。原発性腋窩多汗症とは、原因不明でワキに日常生活に支障をきたす多量の汗をかくといった症状です。
今までの治療は保険適応外の塩化アルミニウム外用と保険適応だが高額で痛みを伴うボトックス注射が主なものでした。
発汗はアセチルコリンの刺激で起こるのですが、エクロックはその機序を抑制します。1日1回の塗布ですが手指に直接つかないように専用のアプリケーターを使います。目に入ると散瞳、口に入ると口渇といった危険があります。
2021.04.17
汗管腫と脂腺増殖症
どちらも顔によくできる小さな良性腫瘍です。常色に近く本来あまり目立つものではないのですが、目の周り、額、頬といった部位に集まって発生することが多いのでとても気になります。
汗管腫はエクリン汗腺の汗管が増殖したもので透明感があります。女性の眼瞼に好発します。
脂腺増殖症は皮脂を作る脂腺が増殖したもので黄白色になります。高齢者の額、鼻、頬に好発します。
どちらも、汗や皮脂の分泌量が増える春から夏に大きくなり目立ってきます。レーザー療法や凍結療法などで治療します。
2021.03.15
ホクロ
俗にホクロと呼ばれているものの多くは、皮膚科学的に母斑細胞母斑(色素性母斑)と呼ばれるものです。未分化な色素系細胞である母斑細胞の増殖によって生じます。ほとんどのものは生まれた時にはなく、3~4歳ころから生じて20~30歳代をピークとします。増殖能が高いとドーム状に隆起してきます。メラニンを作らない母斑細胞もあり黒くないものも多いです。
ややこしいですが、皮膚科学的に黒子という色素細胞の増殖によるものもあります。単純黒子は生下時~幼少時に出現するもので隆起しません。日光黒子はいわゆるシミ、老人性色素斑のことです。
ホクロの癌と言われる恐ろしい悪性黒色腫や、日光暴露が誘因となる基底細胞癌とはよく似ていて鑑別が難しいことがあります。
2021.02.09
痒疹(ようしん)
痒疹とは、痒みの強い、孤立性の丘疹や小結節で、虫刺されや各種アレルギー、アトピー性皮膚炎などが誘因になります。掻把などにより増悪し難治性の結節を形成します。刺激に対する皮膚の炎症反応によるものと考えられ、虫刺、物理的刺激、食物やヒスタミンなどの内因性物質が原因として考えられます。
小児の虫刺後には小児ストロフルスという痒疹がよく生じ、妊娠初期には妊娠性痒疹というのもあります。痒疹の慢性型には多形慢性痒疹と結節性痒疹があります。結節性痒疹では2センチくらいになることもあります。
治療はステロイド外用ですが、結節性痒疹ではステロイド局注、紫外線照射、凍結療法も行われます。
2021.01.12
脂漏性皮膚炎
日常よく遭遇する疾患の一つで乳幼児や思春期以降の成人に好発する皮膚炎です。皮脂分泌の活発な部位に出現し、紅斑から黄色調の鱗屑を伴う紅色局面が特徴的皮疹です。
乳児型では生後2~4週間ごろから被髪頭部や眉毛、前額に生じやすく、ときに黄色調痂皮が付着します。多くは生後8~12か月で自然軽快しますが、症状に合わせて積極的に治療します。
成人型は慢性かつ再発性で、頭部の粃糠様落屑の増加や脂漏部位の鱗屑を伴った紅色局面がみられます。皮脂の分泌異常やストレス、常在菌マラセチアの関与が病因として考えられます。
治療はステロイドや抗真菌剤の外用になります。