保険診療
INGROWN NAILS巻き爪・陥入爪
巻き爪、陥入爪の治療について
医療法人晃有会 ササセ皮フ科 院長 笹瀬晃弘
1. 巻き爪(まきづめ)とは。
巻き爪とは、爪の端が内側に巻き込んだ状態になることで、ほとんどが足の爪に起こります。巻き爪であっても必ずしも痛みがあるわけではありません。爪が皮膚に食い込み突き刺さった状態になった時に初めて痛みが生じます。
ですので普段痛くなく、靴を履いて歩いた時だけ痛みが出る人も多いのです。また長く伸びている時は、靴の圧迫で爪の根元に炎症が起こることがあります。
2. 陥入爪(かんにゅうそう)とは。
巻き爪と混同されやすいのが陥入爪です。陥入爪とは爪が皮膚に食い込み突き刺さった状態のことで、巻き爪でなくても起こります。前方に食い込む場合、横方向に食い込む場合と両方の場合があります。
陥入爪になるのは、スポーツをしている十代の若い人に多いです。いわゆる深爪をして、爪が伸びてきた時に前方の皮膚に食い込むのです。
3. 巻き爪・陥入爪の原因。
爪には、もともと縁が内側に巻いてくる性質があります。足の爪は、足の裏から指までをしっかり使って正しく歩き、体重がかかることでまっすぐ伸びていきます。
例えば、つま先が窮屈な靴を履いていると、外反母趾になりやすいだけでなく、指全体に適度な力がかからないため、爪の縁が極端に内側に曲がる巻き爪にもなりやすくなるのです。また、この巻き爪が原因で陥入爪になることも良くあります。
陥入・変形部の爪母(爪を作るもとの組織)を切除することにより、そこから爪が生えないようにします。
4. 巻き爪、陥入爪の予防法、セルフケア
巻き爪や陥入爪のケアと予防で大切なのは、正しく爪を切ることです。
巻いた爪が切りにくくて長く伸ばしすぎると、靴に当たって爪の変形が生じたり、爪の根元などに炎症が起こったりすることがあります。
逆に、爪を深く切りすぎると陥入爪の原因になります。爪の角が皮膚に当たってそこが腫れてくると、さらに爪が食い込みやすくなり、それを防ぐためにまた爪を深く切る、という悪循環になりがちです。切り残した部分がトゲのようになることもあります。爪の角が皮膚より先に出ていれば、陥入爪にはなりません。
正しい爪の切り方
足の爪は、先を真っ直ぐ四角い形で、適切な長さに切りましょう。
間違った爪の切り方
5. 巻き爪・陥入爪の治療法と治療費
巻き爪の主な治療法
巻き爪の治療としては、巻いた爪のカーブを緩やかにするために、医療機器を使った矯正を行います。よく用いられるのが、形状記憶合金の弾性力を利用して爪を正常な形に戻す方法です。伸ばした爪に穴を開けてワイヤーを通す方法が一般的でしたが、最近では穴が不要で簡単に装着できるタイプや、爪の根元近くに装着可能なタイプもあります。
ワイヤー法(マチワイヤ)
【自費治療】
ワイヤ代 | 1趾 ¥2,750(税込) |
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※別途、初診料¥3,300・再診料¥1,100がかかります。
※対応院は料金表をご覧ください。
マチワイヤーという超弾性ワイヤーを使用して巻き爪を矯正します。
ニッケル・チタン合金で出来ており、その強い回復力により少しずつ矯正します。
処置時間は1ヶ所およそ10分です。
装着時の痛みはほとんどありません。
爪の伸びに伴い 1~2ヶ月ごとの通院・処置が必要となります。
巻き爪マイスター
【自費治療】
ワイヤ代 | 1趾 ¥7,700(税込) |
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※別途、初診料がかかる場合がございます。
※対応院は料金表をご覧ください。
超弾性合金ワイヤで、持続的に爪の彎曲を矯正します。
ばねの伸縮を利用して、フックを爪側縁に引っかける形なので、比較的短時間で装着できます。
爪に穴を開けないので爪が割れにくく、原則として付け替えは必要ありません。
装着期間は2週間~数カ月程度。
取り付け後は運動などもしていただけますが、サッカーや水泳など爪に強い負荷がかかる運動は控えてください。
陥入爪の主な治療法
軽度な陥入爪には、テーピングやコットンを挟むなどの自分でできる処置もあります。痛みや腫れが治れば、適切な長さに爪を伸ばして正しく切ることで改善できるでしょう。ただ、なかなか治らない場合は、皮膚科を受診してください。
皮膚科では、食い込んでいる爪の先をカットする、麻酔をしてから爪の一部分を切除するなどの治療があります。
爪の部分切除(麻酔なし)
【保険治療】
※保険適用になります。
料金については医院までお尋ねください。
食い込んでいる部分の爪だけを麻酔せずに切除する方法で、初発で非常に軽症の時や痛みやはれが強くてフェノール法などすぐに出来ない時などに取る方法です。根治的でないので爪は同じように生えてきます。
爪の根元までの部分切除(麻酔あり)
【保険治療】
※保険適用になります。
料金については医院までお尋ねください。
食い込んでいる部分の爪を縦に3~5mm幅で切除する手術です。陥入・変形部の爪母(爪を作るもとの組織)を切除することにより、そこから爪が生えないようにします。
フェノール法
【保険治療】
※保険適用になります。
料金については医院までお尋ねください。
※対応院は料金表をご覧ください。
フェノールによって余分な部分の爪を二度と生えてこないように爪母まで腐食する治療です。つまり爪幅を細くします。痛みや出血が少なく一ヶ所10分で終わります。皮膚を切ることも無く、ほとんどの場合再発もありません。
定期的なセルフチェックを。
巻き爪では爪の中央部が高くなるので、上からの圧伏で痛みを感じやすくなります。痛みをかばって歩くことで、足の裏に魚の目ができたり、膝に負担がかかったりして歩きにくくなる場合があります。
また巻いた爪と皮膚の隙間には、白癬菌や緑膿菌などが入り込みやすくなります。全身の健康のためにも、足の爪を時々チェックしてみてください。
痛みがある場合はもちろん、爪の変形や変色、肥厚、爪が伸びないなどの症状がある場合も、一度ご相談ください。